【ダイヤモンドの歴史】永遠の美を象徴するダイヤモンドの起源から伝説、意味まで解説
ダイヤモンドといえば、特別な記念日の贈り物や、自身への特別なご褒美として思い浮かびます。
宝石の王者ダイヤモンドが放つその圧倒的な輝きは、誰もが一度はその魅力に惹かれたことでしょう。古代の王侯貴族から現代のあらゆる人々まで、この無敵の石は永遠に輝きを放ち続けています。
ダイヤモンドはその神秘的な輝きと、人間の手によってこれ以上にはない完璧な形に削り出された美しさで、私たちを惹きつけ、奮い立たせます。この美しくも力強い宝石は、どのような歴史を経て現代に到達したのでしょうか?
この記事では、ダイヤモンドの起源から伝説、世界や日本におけるダイヤモンドの歴史、そして歴史を通じて見えてくるダイヤモンドの魅力について詳しく紹介してます。
ぜひ最後までお付き合いいただき、ダイヤモンドの深い魅力を共に探求しましょう。
(※上記画像:106カラットあるといわれるダイヤモンド<コーイヌール>を身に着けるヴィクトリア女王)
ダイヤモンド、その起源と語源
ダイヤモンドは、紀元前800年頃からインドで採掘されていたと伝えられています。
ダイヤモンドという言葉は、ギリシア語の「Adamas」に由来します。これは「征服されないもの」「無敵のもの」という意味があります。
ダイヤモンドはその硬度のため、人の手によって形を変えることが不可能であったことが、この名に込められています。
「Adamas」というギリシア語から生まれたダイヤモンドという言葉が普及したのは、16世紀ごろといわれています。
ちなみにダイヤモンドの和名は「金剛石」。仏典から名づけられたといわれています。ダイヤモンドという言葉と趣が異なるところが面白いですね。
ダイヤモンドにまつわる古代の伝説
(画像:ダイヤモンドの記述が残る古代ローマ時代の『博物誌』)
古代からダイヤモンドは、美しさと硬度で有名でした。
他の宝石とは一線を画す特質から、古代にはさまざまな伝説を残しました。 たとえば古代ローマ時代に書かれた『博物誌』には、こんな記述があります。
- ダイヤモンドを鉄槌で叩くと、鉄槌のほうが割れてしまう
- ダイヤモンドを割るには、殺したばかりの羊の血に浸けなくてはいけない
また古代ギリシアでは、ダイヤモンドは磁石と反発し合う性質を有しているとも信じられていたそうです。 荒唐無稽なお話ですが、ダイヤモンドにはこんな迷信を生む不思議な魅力があった証拠かもしれません。
旧約聖書には、「金剛石」と訳されたダイヤモンドが、信仰の厚さや心の強さの比喩として随所に登場します。旧訳聖書では、神の国エデンにあった宝石のひとつに、ダイヤモンドがあげられています。
古代からダイヤモンドは、最高位にある宝石として、さまざまな伝承や迷信を生んできたのです。
ダイヤモンドの歴史 世界編
ルネサンス時代に描かれたカトリック教会の枢要徳のひとつ『剛毅』。
女神の甲冑はダイヤモンドが使われています ダイヤモンドは、現代にいたるまでどんな歴史をたどったのでしょうか。 意外な事実も含めてご紹介します。
ダイヤモンドはアレクサンダー大王によって西欧に渡来
インドで産出されていたダイヤモンドがヨーロッパに渡来したのは、紀元前4世紀のこと。アレクサンダー大王の東征がきっかけでした。
ヨーロッパ人として初めてアジアの地を踏んだアレクサンダー大王によって、東西の交流が盛んになります。 ダイヤモンドも、この時期にヨーロッパにもたらされました。
ダイヤモンドは長らくアンカットだった!
ダイヤモンドといえば、美しく反射するさまざまなカットが特徴です。 ところが紀元前の時代から13世紀にいたるまで、硬度が高いダイヤモンドはカット技術が存在しませんでした。
1475年にベルギーで開発された回転砥石にはダイヤモンドの粉末が固定されていて、33面体のカットを可能にしました。これが、ダイヤモンドのカット技術の黎明とされているのです。
こうした理由から、カット不可能であった中世までは、形の整ったダイヤモンドが非常に珍重されました。たとえば先がとがりピラミッドの形をしたダイヤモンドは指輪に加工され、なんと字を書くためにも使われていたというエピソードがあります。
実際、古代ローマ時代には、碑文を彫るためにダイヤモンドをツールとして使っていた記録もあります。
また研磨やカットの技術が生まれた後も、神秘性の維持のためにあえて加工せずに原型のまま宝飾品にしたものも残っています。
18世紀以降に広がったダイヤモンド人気
長らくインドでのみ採取されていたダイヤモンドですが、18世紀以降はブラジルや南アフリカで鉱床が発見され、供給が増加しました。
時代を同じくして、ヨーロッパは産業革命を迎えていました。 中産階級の経済力が向上したことにより、それまではごく一部の富裕層のものとされていたダイヤモンドも、所有する層が広がったのです。
需要が増えたことで、19世紀に入るとカットや研磨の技術もさらなる発展を遂げます。 こうして私たちは、美しいカットのダイヤモンドを楽しめるようになったのです。
歴史に残る有名なダイヤモンド
歴史に残る、あるいは歴史を動かしたダイヤモンドがあるのをご存じでしょうか。 たとえば12世紀に興った第2次十字軍遠征でヨーロッパにもたらされた<ブリオリット・オブ・インディア>は90カラットあり、のちに英国王リチャード獅子心王が所有しました。
またインド最大のダイヤと呼ばれた<グレート・ムガル>は、のちに研磨されて英国のヴィクトリア女王に献上され、<コーイヌール>と呼ばれています。
太陽王の別称を持つルイ14世も、ダイヤモンドを愛したことで知られています。<ホープ>という太陽王のブルーダイヤモンドは、44カラットもあったのだとか。
王権に神性を与えるアイテムとして、ダイヤモンドは権力者に愛されたわけですね。
ダイヤモンドの歴史 日本編
愛する人へのプレゼントや自分へのご褒美として、ダイヤモンドは不動の人気を誇っています。
世界史の中では古くから知られていたダイヤモンド、日本人にとって馴染み深い宝石となったのはいつ頃なのでしょうか。 日本におけるダイヤモンドの歴史を見てみましょう。
幕末に日本にやってきたダイヤモンド
西欧社会で珍重されていたダイヤモンドは、なかなか日本に渡来しませんでした。ダイヤモンドがいつ日本にもたらされたかについては、諸説があり明らかではありません。
一説によると、18世紀の博物学者、平賀源内がダイヤモンドを所有していたといわれています。 また別の説では、19世紀に遣米使節団の1人に当時のアメリカの大統領夫人が贈ったのが、日本人とダイヤモンドの縁の始まりともされています。
いずれにしても、ダイヤモンドの存在が日本で知られるのは幕末から明治時代の初めというのが定説です。もちろん、渡来後のダイヤモンドは日本の上流階級しか所有できないもので、庶民には高嶺の花でした。
戦後に爆発的な人気を得たダイヤモンド
日本においてダイヤモンドの需要が広がるのは、戦後のこと。 ジュエリーを身に着ける風習だけではなく、婚約指輪や結婚指輪が一般的になり、ダイヤモンドは身近な存在になりました。
現在も婚約指輪といえばダイヤモンドの名が筆頭に上がるほど、その人気は盤石なのです。
歴史の中でダイヤモンドはどんな意味があった?
(画像:ダイヤモンド、ルビー、真珠をあしらった豪奢なドレスに身を包む16世紀のフランス王妃エリザベート・ドートリッシュ)
ダイヤモンドには古来さまざまな伝承がありました。 それだけではありません。 ダイヤモンドは、さまざまな事象のシンボルでもあるのです。 そのうちのいくつかをご紹介しましょう。
ダイヤモンドはお守り!
カットが不可能だった時代、ダイヤモンドはその不変性から「悪」「病気」「死」といったネガティブな要素を祓ってくれると信じられていました。悪例や幽霊を寄せつけないという迷信もあったそうです。
つまりお守りとして身に着けることが多かったわけですね。 またそもそもの意味が「無敵のもの」であることから、騎士たちが戦場に携帯して武運を祈ったというエピソードもあります。
ダイヤモンドはイエス・キリストのシンボル
数ある宝石のなかでも最高位にあったダイヤモンドは、キリスト教会においても最も重要な人物、つまりイエス・キリストのシンボルとしてよく描かれました。
夜の闇の中でも確かな光を放つダイヤモンドは、苦難の時代の光となるという意味でも、救世主イエス・キリストの象徴としてふさわしかったのでしょう。
ダイヤモンドは嘘も欺瞞も許さない=愛と信頼の証
ダイヤモンドには神性が宿るとされ、身に着けていると嘘が言えないという伝承がありました。
ダイヤモンドは嘘も欺瞞も許さないという意味から、愛と信頼の証として、婚約や結婚の際に愛する人に贈られるようになったのです。 誠実に生きるためのアイテム、といった趣でしょうか。
ダイヤモンドは4月の誕生石
ダイヤモンドは4月の誕生石です。 1年のはじまりの春に相応しい透明感と輝き、ぜひプレゼントやファッションに活用してみてください。
価値あるダイヤモンドを身に着けるために
世紀を超えて変わらないダイヤモンドへの憧憬。 それは現代も変わりません。 ダイヤモンドのパワーは、歴史に残るさまざまな逸話からもうかがい知れます。
ダイヤモンドの神秘がもたらすお守りとしての役割、あるいは絆の証としての輝き。 このコラムを読んでくださった皆さんはきっと、連綿と続いてきた歴史とダイヤモンドの力を実感してくださったことと思います。
そうした要素は日常的に使うジュエリーにこそ、取り入れていただきたいと私たちは望んでいます。
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「参照元」
・平凡社世界大百科事典
・諏訪恭一著『指輪が語る世界宝石歴史図鑑』2022年,世界文化社刊
・Silvia Malagucci著『Oro, gemme e gioielli』2007年,Electa社刊
・トレッカーニイタリア大百科事典