【母から娘へ】家族の絆を深める「ファミリージュエリー」の定義や歴史、人気の宝石を徹底解説
母から娘へ、さらにその子へ。女性たちの間に受け継がれていくファミリージュエリーは、その家の歴史の語り部といっても過言ではありません。
祖母や母、あるいは義理の母や縁戚の親しい女性から譲られるジュエリーは、新しいジュエリーとは異なる重みがあります。 家の繁栄の象徴でもあるファミリージュエリー、その定義や歴史、逸話をご紹介いたします。
(※上記画像:宝石が似合う女性として有名なメアリー王妃。彼女が身に着けたジュエリーの多くは、ファミリージュエリーとして英国王室に伝えられています。)
王家や貴族たちの風習だったファミリージュエリー
※エルザベス2世やチャールズ3世も戴冠式で使用した王冠は、1661年から英国王室に伝わるファミリージュエリーです。
ファミリージュエリーの定義
ファミリージュエリ―とは、いったいどのような宝石を指すのでしょうか。ファミリージュエリ―の一般的な定義は、特定の家族に属し何世代かに渡って受け継がれてきた貴重な宝石となっています。 ファミリージュエリ―の多くは高価な宝石が使用されていて、その家系の繁栄を伝えるものが大半です。その最たるものが、王家に伝わる王冠や貴族の家に伝わる豪奢なジュエリーです。
聖エドワードの王冠
たとえば、先日戴冠式を行ったイギリスのチャールズ3世を見てみましょう。 彼が頭上に頂いた王冠は、聖エドワードの王冠と呼ばれています。この王冠、なんと1661年に制作されて現在に至ります。
ケンブリッジ・ラバーズ・ティアラ
女性たちのジュエリーも同様。 歴史ある英国王室には、数々のティアラがファミリージュエリ―として伝えられています。そのうちのひとつ「ケンブリッジ・ラバーズ・ティアラ」は、20世紀の初頭にメアリー王妃が注文したジュエリーです。メアリー王妃の死後、彼女の孫の故エリザベス2世、故元ダイアナ妃、そして現在の皇太子妃キャサリン妃を飾ってきました。
ヴィクトリア女王の結婚
王室に残るファミリージュエリーは、王冠やティアラだけではありません。ネックレスやブレスレット、ブローチなどあらゆる宝飾品に及びます。 なかには世紀を超えて女王や王妃を飾ったジュエリーもあります。
そのひとつに、1840年にヴィクトリア女王が結婚した時、夫君アルバート公から贈られたサファイアとダイヤモンドのブローチがあります。愛らしくも気品あるこのブローチは、アレクサンドラ王妃やメアリー王妃、エリザベス王妃、エリザベス2世が好んで身につけたファミリージュエリ―でした。 ファミリージュエリーを身に着けるとき、女性たちは家を支えた母や姑に思いを馳せているのかもしれません。
近世に興ったファミリージュエリーとは
ジュエリーの概念を変えるきっかけとなった産業革命 ファミリージュエリ―という概念は、19世紀前半に興った産業革命によって大きく変わります。ジュエリーとは対極にあるイメージがある産業革命、いったいどんな変革をもたらしたのでしょうか。
ファミリージュエリーの広がり
ジュエリーは上流階級に属するごく一部の人だけのものとされていた概念は、産業革命によって大きく変わりました。 大量生産の時代を迎えると、中産階級の経済力が大きく向上し、ジュエリーを所有できる層が広がったのです。
こうした時代の流れの中で、ファミリージュエリーもある程度の経済力のある人のあいだで一般化していきました。 もちろん、王侯貴族が持つようなジュエリーに比べれば、その価値はささやかであったかもしれません。
しかし、不変性をもつ宝石を所有する喜びは市民階級も同じでした。 家長が妻や娘のためにファミリージュエリーとして宝飾品を買い与えるという風習が、近世に広がっていったのです。
繁栄と家運の象徴として
ファミリージュエリーは、トレンドとは対極にある宝飾品。 そのためモダンなデザインよりも、格式を思わせるシンプルななデザインが変わらぬ人気となっています。 ファミリージュエリーは財産であるという意味以上に、感情的な価値が重んじられる宝飾品です。
ヨーロッパでは、ファミリージュエリーを失うことは家の運も落ちてしまうという伝承もあるほど。家の守護神の意味もあるのでしょう。 そのためかファミリージュエリーは、どんなに経済的な困難に陥っても手放すべきではないという伝承もあります。
真綿と続く家族の思い出を秘めたアイテムとして、ファミリージュエリーはどの家庭でも大事にされているわけです。
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大事なファミリージュエリー、どんなときに身に着けるの?
ファミリーストーンを次代に託す人は、次の時代も家が栄えて家族が幸せであることを願います。 ファミリーストーンを贈るタイミングは、結婚式が最善とされてきました。 ヨーロッパではどんな風にファミリーストーンを身に着けるのでしょうか。
ファミリージュエリーを主役にした結婚式
「エレガンスとは注目を浴びることではなく、記憶に残ることである」。 そう語ったのは、デザイナーのアルマーニでした。 ファミリージュエリ―は奇をてらったものは少なく、流行を超越した気品が特徴です。まさにアルマーニが語るスピリットを有しているといえるでしょう。
若い花嫁から見ると、少しレトロなイメージも否めないファミリーストーン。 しかしそれを身に着けることで、ファミリーの一員としてのお披露目も兼ねているとされています。 ファミリーストーンがクラシカルでも、ウェディングドレスをモダンにすることは可能。
豪華なファミリーストーンを所有する家では、宝飾品を主役にしてドレスをデザインするケースも少なくありません。 その気品や美しさは、人々の記憶に長く残ることになるのです。
ファミリージュエリーとなる宝石たち
子々孫々に伝えていくファミリージュエリ―。 使われている宝石も、高価なものが多いのが実情です。 ファミリージュエリ―の定番となっている宝石には、どんな意味があるのでしょうか。 人々がファミリージュエリーに込めた思いを感じてみてください。
ダイヤモンド
宝石の王者として古代から珍重されてきたダイヤモンド。 ダイヤモンドは硬質と輝きが特徴であるため、精神的な強さや完全の象徴としてファミリージュエリーにもよく使用されます。 また古代から「不敗」のシンボルでもあり、家運と繁栄に相応しい宝石といえるでしょう。
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真珠
東洋の神秘を持つ宝石として知られてきた真珠。 魔除けとして女王や騎士たちに愛されただけではなく、ロマンチシズムに満ちた宝石として女性たちのあいだで絶大な人気を誇ります。 フォーマルなシーンの定番として、日本でも着用頻度が高い宝石です。
ルビー
ルビーは昔から「火を宿した」宝石といわれてきました。 「火」だけではなく「陽」の象徴でもあったため、人間に力と繁栄を与えるという言い伝えがあります。 母性とも関連付けられることも多く、ファミリージュエリ―の定番的な宝石です。
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サファイア
ウィリアム皇太子が婚約指輪としてキャサリン妃に贈ったのはサファイアでした。王族の間でルビーと並んで人気があったのが、サファイアです。 その昔の巡礼者たちは、危険を避けるためのお守りとしてサファイアを身に着けていたといわれています。 また悲しみや憎しみを遠ざけて幸福へと導く石とされたり、富と栄養を与える宝石としても愛されてきました。
ゴールド
宝石をつなげていく「金」もファミリージュエリ―の王道。 ゴールドは「卓越性」を表すものであり、チェーン状にした場合には絆の象徴として中世には男性もよく身に着けていました。 海の都として繁栄を謳歌したヴェネツィアでは、花嫁の装身具として大人気であったと伝えられています。
次世代へとつなげるファミリージュエリー
トレンドの浮き沈みが激しい近年。 そうした風潮を超越した魅力を持っているのがファミリージュエリ―です。 かつては王侯貴族の特権であったファミリージュエリ―は、近代に入り多くの家庭で持つことが多いアイテムになりました。 ファミリージュエリ―に込められた人々の願いや祈りは、私たちに命を与えてくれた先人たちの遺産です。
そして私たちもまた、若い世代にファミリージュエリーを贈り、明るい将来を祈るときがやってきます。 家族の優しさや温かさを感じながら、ERILISSのファミリージュエリーを身につけてみてください。 そこに潜む深い精神性はきっと、みなさんとご家族を守ってくれることでしょう。
参照元:Silvia Malagucci著『Oro, gemma e gioielli』2007年, Mondadori Electa社刊
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